沖縄の地方紙「沖縄タイムス」の2023/2/4付けの1面に「中学生 部活離れ加速」という見出しで記事が掲載されました。
約半数は部活に入らず…沖縄の中学生「部活離れ」が加速 (外部リンク:「沖縄タイムス+」へ移行します)
2022年度沖縄県内の中学校で「『部活動離れ』が加速していて、クラブチームの普及・新型コロナウィルスによる活動制限が拍車をかけた可能性がある」という記事で、記事内には2人の男性教諭の声が紹介されています。
今回たま🐸の記事では「教員の働き方改革について」「男性教諭2名のコメントについてそれぞれ言いたいこと」の二つを書いていきます。
今回はあえて強い言葉も使っていますので、苦手な方はブラウザバックをお願いします。

沖縄タイムス「中学生 部活離れ加速」の記事に思うこと
この記事は県内中学生の部活動加入率が53%に減少し、その原因を「クラブ活動の普及」「新型コロナウィルスによる活動制限」としています。
記事を書いた社会部の記者の方の言葉として「部活動加入率が減少していることがいけないことだ」と書かれてはいません。
ですが「部活離れ加速」といった見出し、紹介されている2名の教諭の声から、暗に「部活動加入率が減少していることがいけないことだ」といっているように思えました。
たま🐸は中学生が「部活動に加入しないことが悪だ」とは1ミリも思っていません。
むしろ、「可能であればどんどん外部へいった方が良い」と考えています。
時代は変化しています。
今の子どもたちには、昭和・平成時代にはなかったたくさんの選択肢が用意されているのです。
そして部活動以外の場所で学べることの方が多くあると思います。
それを「部活動」という枠組みだけに閉じ込めておこうとするのは、子どもたちの可能性をせばめる、前時代的で危険な思想と言わざるを得ません。
「子どもたちのため」という言葉に思考停止をせず、一歩立ち止まって、変化に対応する方法を考えていかなければいけないと思っています。
たま🐸の考える「変化に対応する」とは、「部活動の地域移行」「部活動に携わりたい教員のみが携わる」「クラブチームに通えない生徒の活動の場の確保」、この3つをすべて成立させることだと考えています。
これら3つはどれか一つが欠けても、時代の変化には対応できないものだと考えています。

たま🐸の考え(教員の働き方改革と部活動について)
教員の働き方改革=部活動改革
たま🐸の考える教員の働き方改革には、部活動のあり方を見直すことが必要不可欠です。
そもそも部活動は教員の仕事ではありません。
部活動の顧問を務めると、勤務時間内に業務が終わることは絶対にありません。
部活動生の総下校時間(校内からでなければならない時間)が18:30~19:00に設定されているからです。
その時間までは受け持っている部活動の生徒が校内にいることになりますので、帰宅することは許されません。
帰ってもいいんでしょうが、無責任な行動といえるでしょう。
他の学校に残っている先生へ監督依頼をして帰宅することも可能ですが、これを毎日引き受けてくれる人はいません。
皆自分の仕事で手一杯ですから。
教員たま🐸の一日のタイムテーブル
ここでたま🐸が学級担任と部活動の主顧問の両方を受け持っていた時のタイムテーブルをご紹介します。
これは何も特別なことはなく、沖縄では若手は同じような道を歩みます。
これは放課後に会議などが入っていないときのタイムテーブルです。
会議や研修が入った場合は部活生は放置し、会議が終わり次第指導・監督するという感じです。
このタイムテーブルが当たり前なので、下校指導のあとに会議が入ることもあります。
生徒指導があり保護者呼び出しをしたときや、PTAの集まり、地域の集まりがあるときなどはだいたい19時頃から始まり、1時間以上かかります。
このタイムテーブル以降も勤務は続くのです。
そして教員は(たま🐸が勤務した学校がそうだったのかもしれませんが)お酒が好きな方が多いので、飲みに誘われることも多くありました。
アルコールハラスメントも根強く残っており、「先輩の誘いを断ってはいけない」という謎ルールも健在です。
(「たま🐸が同じ教科の先輩にアルコールハラスメントをくらった話」はまたの機会に。)
さて話を戻して、このようなタイムテーブルの中に教員の基本業務である「教材研究・授業準備」の時間はありましたか?
ありませんね。そんな時間取れません。
じゃあどうするか。
朝早く出勤して準備をします。
たま🐸は朝6時半には出勤をしていました。教員はブラックだと言われていますが、本当にブラックです。
その話はまたの機会に。

部活動が生きがいな教員
教員のなかには、部活動に命をかけている教員もいます。
文字通り「命をかけている」教員です。
会議中には居眠り or 落ち着かない様子で、会議が少しでも長引くとイライラ。
会議が終わり次第、我先にと職員室を出ていき、生徒へ怒号をまき散らす。
そんな教員が残念ながら存在します。
そういう教員は、働き方改革、部活動地域移行の話が出ると必ず
「生徒のため」
という言葉を使います。
この層は(これまでのたま🐸の経験上)一番厄介で、「年齢が40~50代」「自分が生徒のときも、教員になってからも部活動で実績を残している」人が多いです。
生存バイアスが強くかかっているので、話が通じません。
また部活動「しか」していないので、授業にも部活動の雰囲気を持ちこみます。
部活動に所属していない生徒もいる教室にそのような雰囲気を教員が持ち込んだらどうなるか、想像に難くないと思います。
この方たちにとって部活動は「生徒のため」ではなく「自分のため」なのです。
部活動の見えない罠
タイムテーブルを見ていただいて、働き方改革には部活動改革が必要不可欠であるということがお分かりいただけたと思います。
部活動にあてている時間を、授業準備や事務処理にあてられれば働く時間は大きく削減されるでしょう。
また、部活動に携わる時間というのは上のタイムテーブルに現れているものだけではありません。
罠があります。
それは保護者対応です。
保護者の方はアポイントなしで急に訪ねてきて、時間無制限で要望や苦情を話されます。
訪ねてこないまでも、電話で1時間以上話されることもザラにあります。
時間を指定してパッと切ることができればいいのですが、それはできません。
一歩間違えると新たなクレームに発展します。
それに保護者の方ですから、ご自身のお子さんのために一生懸命になられています。
もちろん保護者の方の声を受け取ることは大切なことです。大事なお子さんをお預かりしているのですから。
ただし忘れてはいけないのは、「部活動は教員の業務ではない」ということです。
(部活動は「生徒の自主性、自発的な参加により行われる」とされていますし、教員の超勤4項目にも部活動は規定されていません。校長による「命令」ではなく「お願い」です。つまり部活動は教員の自主的な活動とされています。)

部活動改革が進まない理由
そして各学校の部活動の数は、教員の数と比例しています。
つまり、一人でも抜けた場合運営が立ち行かなくなる体制なのです。
だから学校では部活動の顧問を引き受けるのが当たり前になっていて「全員顧問制」なるものをしいている学校もあります。
私は今年度部活動顧問を拒否したのですが、何名もの先生方から「できることだけでもやったら?」「みんな協力してやってるんだから」などと声を受けました。
学校には当たり前に部活動があるので「部活動は業務ではない」ということを知らない先生方もいらっしゃいます。
「自主的な活動で自分の首をしめているなんてバカだな」と思われるかもしれません。
しかし「無知な教員」「無言の・同調圧力」「部活動が生きがいの教員」「余裕のない体制」「無理解な保護者」様々な要因が絡み合って、部活動改革が進まないのです。

たま🐸の考え(部活の顧問を長く務めてきた男性教諭の考えに対して)
ここでは沖縄タイムス紙面から記事を一部抜粋して、たま🐸の考えを書きます。
記事抜粋
2023/2/4付け沖縄タイムス一面より抜粋※
部活動の顧問を長く務めてきた男性教諭は、部員の減少で試合人数を集められない事例が増えていると指摘。
「部活は一番身近で入りやすく、体を動かす入口になる。
高いレベルでやりたいわけではない『普通の子』の活動場所を守らないといけない」
と危機感を示す。
部活動改革の一案
この文面からもわかる通り、「子どものため」と思っているようです。
おそらくですが、「顧問を長く務めてきた男性教諭」ですので生存バイアスのかかった方なのではないでしょうか。
「身近で入りやすく体を動かす入口」というのは同意します。
クラブチームへ入ることのできない子どもたちが体を動かす場としてであれば部活動の存在意義は大いにあるでしょう。
では、「試合人数を集める」必要性はどこにあるのでしょう?
そもそも「体を動かす入口」とだけ考えているのであれば、バレーボール部やハンドボール部などのように「〇〇部」として狭い枠組みをつくる必要は無いはずです。
「室内球技部」「屋外球技部」などもっと大きな枠組みで捉え、その日その日にどのスポーツを楽しむかは子どもたち同士が相談して決める。
部活動は「生徒の自主性、自発的な参加により行われる」わけですから。
顧問は「部活動に携わりたい教員」だけが担当し、安全管理と一部の技術面の指導のみを行う。
(そうすれば顧問を担当する教員の数を大きく減らせるでしょうし、安全管理などについても知識も経験もあるでしょう。)
これではダメなのでしょうか。
おそらくここでいう「試合」は他の中学校との練習試合や大会などを指すと思いますが、
高いレベルでやりたいわけではない「普通の子」に試合をさせる必要はありますか?
試合をしたいのは、本当に子どもたちですか?
この方が示している「危機感」はたま🐸にはまったくわかりません。

たま🐸の考え(部員が5人程辞めた部の顧問を務める男性教諭の考えに対して)
次に、「部員が5人程辞めた部の顧問を務める男性教諭」の考えに対してたま🐸の考えを書きます。
記事抜粋
2023/2/4付け沖縄タイムス一面より抜粋※
活動休止の長期化や大会出場メンバー以外の練習制限などで、部員が5人ほど辞めたという。顧問を務める30代男性教諭は「部員と顔を合わせる機会も少なく、引き留めることが難しかった」と話した。
この記事に対するたま🐸の意見
さっそくですが、「活動休止の長期化や大会出場メンバー以外の練習制限」は悪でしょうか?
学校には部活動に所属していない生徒もいますし、その家族もいます。
もちろん教員にも家族がいます。
一部の生徒の「自主性、自主的な参加により行われる」活動のために、その他の生徒・その家族の不利益を招くようなことはできないでしょう。
そして「引き留めることが難しかった」とのことですが、なぜ引き留めるのでしょうか?
もしもその辞めていった生徒がクラブチームへ移っていったとしたならば、より高いレベルへ挑戦するということですから、たま🐸なら、「頑張ってこいよ」と背中を押し、励ましますが…。
「活動制限が原因で辞め、何も活動していない」のであれば、制限が解除になったタイミングでまた入部を促し、快く受け入れれば良いと思うのですが…。
この方のコメントを読む限り、どうしても部活動至上主義者の発言のように思えてなりません。指導者の慢心です。
部活動が唯一絶対の子どもたちの成長の場なのでしょうか?
子どもたちには部活動以外の選択肢は許されないのですか?
これから入部する”かもしれない”生徒の活動の場所を守るために、一度入部してしまった生徒たちは「辞める自由」も許されないのでしょうか?

たま🐸の考え(記事に対して)
この記事では記者の方の言葉で直接的に「部活動加入率が低下は悪である」とは書かれていません。
しかしたま🐸には、見出し、採用している教員のコメントから「部活動加入率の低下は悪である」と言っているようにしか読めません。
部活動を辞めて何をしているかのデータも示すべきだったと思います。
はじめにも書きましたが、放課後の活動の選択肢が部活動だけの時代ではないですし、体を動かすことの選択肢が部活動だけではないはずです。
また、なぜ採用したコメントはこの2名だったのでしょうか。
他にもインタビューを行った教員はいなかったのでしょうか。
今教育現場は大きな変革の波に飲み込まれているので、他の教員はインタビューに答えるヒマなどなかったのかもしれません。
まとめ(部活動改革=教員の意識改革)
今回の記事はあえて強い言葉を使って書いていますので、読む方によっては不快な思いをされたかもしれません。
もし誰かを傷つけているというのであればコメントでご指摘ください。
気を付けて書いたつもりですが、配慮が足りなかったのかもしれません。
つらつらと書いてきましたのでまとまりのない文章になってしまいましたが、都度都度加筆修正をしていこうと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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